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この店はやめて違うところに行こう。
「あ、」
店を出てすぐ、ふと横を見ると今の今までもうすっかり忘れていた顔があった。
「え、もしかして叶多?」
「、、美穂」
坂本美穂。中学の同級生で高1の時少しだけ付き合っていた、所謂元カノ。
もう綺麗さっぱり忘れていた。
「久し振りだね」
「久し振り」
別れ話も電話でしたため、会うのは本当に久し振り。
「1人??」
「そうだけど」
少し嫌な予感。
「少し、お茶してかない?」
ほらきた、だと思った。
「いや、まだ行きたいとこあるしそれに彼女いるから」
「少しだけだよ?」
だからなんだよ、行かないって言ってるだろ。
「少しなら行くとかそういう事じゃないから」
「え~、残念」
口を尖らせて露骨な表情。
ぜんっぜんかわいくない。
「じゃあ、俺行くから」
「またね」
何がまたね、だ。二度と会いたくない。酷い女。
俺とあいつが別れたのは、あいつの男癖の悪さが原因だった。
卒業式に告白されて、俺も気になっていたから付き合うことになった。
高校は別々のところに進学したけれど、お互い予定が合う日にはデートもした。楽しかった。確かに好きだったんだ。
でも、ある時友達からあいつがどんなことをしているのか聞かされた。あくまでその俺の友達もあいつとおなじ高校の友達から聞いた話でその子もあいつとは関わりがあった訳では無いから噂程度のものだった。そのはずだった。
だけど、見てしまった。
たまたま出かけた時、男に腕を絡ませて歩いているあいつを。話を聞かされても付き合っていたから、信じていた。そんな事しないと。
その結果がこれだ。みた瞬間に気持ちがスっと冷めていくのを感じた。それはもうびっくりするくらいに。
その日の夜、俺から電話をかけて別れを告げた。
その後に春香と出会い、惹かれあえた。
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