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「どこ行こうかなー」
さっきまでの嫌な気持ちを消したくて、またプレゼント選びに集中する。
「わ、これ」
良さげな店に入り、とりあえずざっと見ようと店内を歩き始めてすぐに目に止まった。
「めちゃくちゃ良い」
可愛いデザインのヘアアクセサリー。
彼女のイメージピッタリ、色も彼女の綺麗な黒髪に映えるだろう。
「よし、」
決まり。
「よかった、いいのあって」
無事に買い物を終えることが出来て一安心。
後は半年記念日に渡すだけ。
他には特に買い物の予定はなかったので、帰ろうかと思った時だった。
「叶多」
「おまえ」
なんなんだこの女。せっかくの楽しい気持ちを2回も台無しにしてくれた。
「やっぱり、少し話したいなと思って」
そう言ってはにかみながら近寄ってくるあいつ。
「話すことなんてなんもないだろ」
帰りたい。切実に。
時間の無駄でしかない。
「お願い、少しでいいから時間ちょうだい」
さっきの表情から一転、真剣な表情で俺に言う。
そんな真剣な顔されると大事な話なんじゃないかと思ってしまい近くのカフェに入る。
出来れば公園とかが良かったのだが、生憎近くになかったので仕方がない。
「私、まだ叶多の事が好きなの」
座って注文を終え、開口一番に何を言い出すかと思えば信じられないことを言い始めた。
ていうか、なんなんだこのベタな展開は。
「さっきも言ったけど彼女いるし、俺はお前のこと好きじゃない」
どうせあれだろ、久し振りにあって暇つぶしにちょうど良かったとかそんな感じ。
「私の何がダメなの」
馬鹿なのか?
あの時の自分の行いを忘れたとでも言うのか。
「何がって、本気で言ってる?」
「もちろん」
呆れた。言葉が出てこない。
「彼女のことはいいよ。私は気にしない」
お前のことなんか知ったこっちゃない。
何言ってるんだこの女は。
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