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「沙希はちゃんといい子にしてる?」  平日に休みを合わせてデートをしている時に、恭吾さんが聞いてきた。 「いい子の定義にもよるかな」  そう返したところで優しい笑いが漏れる私達は、きっと幸せなのだろう。  公園のベンチの周りは落ち葉に埋め尽くされていた。  もう十一月だというのに日差しは暖かく、私達はそこに座って目の前の池をぼーっと眺めながら、静かな時間を過ごしていた。  サラサラと無風の空間を落ちてきた枯れ葉が、ふわりと頭に着地する。  こんな時間を共有してくれる恭吾さんが、私は大好きだ。 「もう一年通ってるのに、未だに私のことが嫌いみたい。相変わらずニコリともしてくれないし」 「おかしいなぁ、俺といる時はそんな子じゃないんだけど」 「それだけ私に敵意を持ってるってことよ」  このまま懐いてもらえなかったら、私は恭吾さんと結婚できないんだろうか。  最近はそんな考えが頭をよぎることがある。 「俺もどう思ってるのか聞き出そうとするんだけどね、百合ちゃんの名前を出すと途端に不機嫌になるから、なかなか聞けなくて」 「ほらね、やっぱり。私はただの家政婦なんだもん」 「家政婦なんかじゃないよ」  恭吾さんは笑いながら、私の頭を肩に引き寄せる。  私は甘えて目を閉じた。  
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