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ふと見ると、ほっと安堵の表情を浮かべた若い男が、私のすぐ目の前を駆けていった。
男はばつが悪そうに笑いながら、同世代くらいの女のもとへ駆け寄った。すると、嬉しそうな顔をした女が、彼に寄り添う。
ふたりが仲良く肩を並べ、私の前を通りすぎた。
仕合わせな横顔に、
仕合わせな横顔が重なる。
なんとまあ、呆れたことだ。
女はさっきまで、身体を揺らして足踏みをして、私と同様にイライラしていた。
その感情も、今ではすっかり忘れているのだ。
そうしておそらく、次回もまた私と同様、性懲りもなく 同じことを 繰り返す。
小さくなった後ろ姿を見届けると、もう一度だけ時計を見、私は小さく息をついて、その場を離れた。
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