港町

1/1
前へ
/40ページ
次へ

港町

俺は沖堤防にぼんやりと座っていて海を見ていた。 モネの『印象・日の出』のように、目の前は朝もやがかかっていて、どこかから昇っている日の光がもやの中を乱反射して、目の前を紺色とオレンジ色と緑色に不自然に染めていた。全てがぼんやりしている。 目を凝らすと遠くに小さく黒い船の影がある。そう思ったら、ボォーと汽笛が聞こえた。 沖堤防のコンクリートから朝の冷気がふとももに伝わってくる。なんとなく寂しい気持ちになったけど、この場所は落ち着いて好きだった。 そう思うと隣に人が立っているのに気がついた。多分男だ。 「ここは夢だ。帰れ」 俺はそう言われた。そうか、夢なのか。 気づいてしまった。そうするともう、追い出されるしかなかった。 俺は諦めて、海に飛び込んだ。 -付言 昔見た夢で印象に残ってるやつ。 自分的には夢って夢の中で気づいたら追い出される。 凄い残念な気分。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加