バラバラな朝

1/1
前へ
/40ページ
次へ

バラバラな朝

ふと目覚めると、バラバラになっていた。 右ほっぺたを下に転がってる俺は首だけで、直ぐ近くに右前腕とか左太ももとか腰とかそういうサイズのパーツごとに体が散らばってる。 それらの俺のパーツはそれぞれ細い線で首と繋がってて、感覚は共有してるのに、バラバラだから動けない。 ふいに俺の耳に声が聞こえる。 「どうしたい?」 目だけそちらに向けるともう1人の俺がいて、ようするに元のように繋ぎ直して欲しいか、そのままがいいか尋ねるんだ。 すごく優しい声で俺にそう尋ねて、試しに右前腕を持ち上げる。触れられた部分が気持ちいい。 「どうしようかな」 ちょっと悩む。全部繋がると、俺の隙間から湧き出たもう1人の俺は消えてしまう。それはなんだか寂しい。また1人になるみたいで。だから本当はこのままでいたい。 でも起きないと。そんな気持ちもあって仕方なく返事する。多分寝ればまたバラバラになって、きっとまた会えるだろうから。 ー付言 今日の寝起き。 これ系の感覚は割といつもある。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加