ぼんやり

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ぼんやり

なぜだか全然焦点があわないんだ。 だいたいの景色の感じはわかるのに、よく見ようとするとぼやけてよくわからない 俺は街を歩いてる。今、2メートルくらいの路地を出た。そこは繁華街のロータリーか何かで、そこで足を止める。スクランブルな交差点で、人がたくさん行き交ってるけど、よく見ようとすると二重や三重になってよく見えない。ロータリーの少し先に高架があって、そこをガタンゴトンと電車が通り過ぎるけど、そちらを見てもやはりよく見えない。黄色か黄緑の電車のようなものが左から右に通り過ぎた。 ざわざわと音がして目を戻すと、目の前にはたくさんの人が行き交っていて、でもその人たちに焦点を合わせることができなくて、ぼんやり何重かに揺らいでいる。 目を細めても、目頭を擦ってもよく見えない。音もぼやけていて、水中を通っているようなぼやぼやした感じがする。 でも足元の感触ははっきりしていて、靴が固い地面を踏んでいる。左肩にドンと何かがぶつかる感触。 すみません、と言って誰かが隣を通り過ぎた。 ぶつかった感触は普通にあったのに、その人に焦点を当てることはできなくて、その人はダブってぼんやりしたままにロータリーのざわざわした雑踏に紛れてもう見分けがつかない。 ー付言 寝起きってよく目が見えなくないですか? 今起きてしばらく経ってるけどまだ目がよく見えなくて文字打ちづらい。片目づつぱちぱちしてるけど戻らないし。なんだろう。 視神経がまだ寝てるんだろうか。
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