1135人が本棚に入れています
本棚に追加
ひなたは普段、こういう漫画を好んで読んでいるわけか。
父親が連帯保証人になっている焦げ付いた借金の返済のために、昼間はOL、夜は水商売であくせく働くヒロイン、坂下樹里。
母は若くで他界しており、父とヒロインと学生の弟という家族構成で、母が生前大事に育てていたバラが咲く庭を手放したくないから、持ち家を売ることもせず、父と娘で闇金の借金返済に追われる日々。
その無理がたたって父が病に倒れてしまう。
収入源が自分だけになってしまったヒロインは、それでも頑張るしかないと夜の仕事のシフトを増やしてエロおやじたちのお触りに耐えていたところ、その店に接待で連れてこられた職場の鬼上司と鉢合わせしてしまうのだった。
鬼上司であるエリート課長、柏木京哉はヒロインに対して最初は嫌味を言うのだが、家庭の事情を知るとこう提案するのだった。
「俺がその借金を肩代わりしてやる。副業でホステスをしていたことも黙っておいてやる。そのかわり、俺と結婚しろ、樹里」と。
ここまで読んで、いや待て、と思う。
まず、家を手放せよ!バラは掘り起こして持っていけばいいだろうが!
闇金は法律事務所に相談しろ!
いきなり下の名前呼びでプロポーズかよっ!しかも命令形!?
読みながら、こんな展開あり得ないだろ!とか、おいコラ、その言い草はないだろう!とか、偽装結婚とか言いながらヤることはヤってるんだよな、このふたり…とか、あれこれツッコミを入れながらも、どういうわけか引き込まれて3巻まで一気読みしてしまった。
しかも、そこで終わりではなかった。
エリート課長が御曹司であることや、元婚約者の存在が明らかになり、その美女があろうことかエリート課長と談笑しながらふたりっきりで食事しているところを目撃してしまったヒロインは、自分がふたりの仲を邪魔していると勘違いして、荷物をまとめて課長と一緒に暮らしているマンションを黙って出ていくのだった。
おいいぃぃっ!
そこは、出ていく前に課長に確認しろよっ!
ていうか、ここで終わりとは、この先が気になって仕方ないんだが!?
そう思いながら本棚をくまなく探しても4巻が見当たらない。
ひなた、4巻はどこにあるんだ!?と起こそうかとも思ったが、病気な上に今は真夜中だ。
俺はこの夜、ここで力尽きて、畳の上で丸まって雑魚寝したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!