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その後は僕達一行は襲撃に合うことはありませんでした。
僕達は予定よりも被害を受けてしまったので、元々襲撃を見越して準備していた中間拠点で僅かではありますが一度体制を整えてから南の都まで一気に進みました。
敵は森の一角で待ち構えていたそうです。
敵はまず、爆発物で一行の列を止め、5つの集団に別れました。
さらに、指揮を行っていた集団は5部隊のうち真っ先に最も戦力の優れたセルベル様達の先頭の馬車に襲撃したようです。
その襲撃者の集団中にも異常な腕前の者が多数いたようで、流石のお兄様でもかなりの鎮圧までにかなりの時間を要したそうです。
その後、馬車内を確認した襲撃者は第1部隊がダミーだと気付くとお兄様の足止めをするための人員を残してそのまま後ろの部隊に攻めて来ました。
そして、遂に敵の主戦力が第三部隊にたどり着いた時、それに気付いたフォード様と伏兵のコウモリ、後方から割いた追加の人員で交戦しました。
しかし、その中敵の1人が包囲を抜け、馬車に襲撃。その中でおよそ1分と少しの間に渡って防衛戦が行われました。
1分、そう言われるとそうだったきもしますが…あの時間は本当に長く感じました。
それは、目の前のヘンリー様も同じだったのでしょう。
ですが、あの戦闘以来、ヘンリー様の目には強い意志が宿っているように見えました。なので、ヘンリー様はきっともう大丈夫でしょう。
〜〜〜
馬車が南の都、さらに王城にたどり着くと、沢山の兵士が出迎えてくれました。
山脈を超えた先にあるだけで距離的にはあまり離れていないはずの南は我が国とは比べ物にならないほど熱く、僕達は馬車から降りた瞬間顔を歪めずにはいられませんでした。
「南には軍事的な力がほぼ無い、だから軍事に優れているものの資源や技術に劣った我々と協力関係にある」とお兄様から聞いていたのですが南の町中には出迎えの兵士以外にもたくさんの兵士が努めているのが見えたので南は思っていたよりも軍事力はありそうでした。
そして、遂にお別れの時が来ました。
「ノア、本当にありがとう…」
「…いえ、当たり前のことですから」
ヘンリー様が少し、悲しげな表情をされまひたがここは南の都、ここに来たからには少なくとも今回はもう、僕はセルベル様の弟に戻ったのですから、しょうがないことです…。
「…僕、ここで植物学をもっと勉強してさ、薬学を収めようと思う。そして、誰からもヘンリーとして認められるようになって、ノア達が傷付いても絶対に治せれるようなすごい薬を作ってみせるから…」
「…」
「せめて、学者のヘンリーになれるまでは会いに来てほしい」
「はい、必ず」
ヘンリー様はその言葉に満足したようで馬車の中で見せたような笑顔ではなく、とても晴れやかで、眩しい笑顔をしていました。
「それじゃあ…」
「はい、お気をつけて」
ヘンリー様に、これから戦うべき場所があるように、僕にも戦うべき場所があります。
これはきっと、僕達が自分が自分であるためには終わらないものだと思います。
でも、いつか、いつの日か。戦わずともいられる世界がくればいいなと、少しだけ思いました。
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