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おまけ2
なんかおまけみたいなやつ2
外の雨音に気付き僕は普段よりも少し早くに目を覚ましました。
目をこすりながらベッドから降り、カーテンを引くと真っ黒な雨雲がずっと遠くのまで覆っているのが見えました。
この様子ではすぐには止みそうにありません。
僕は急いで寝具を片付け、着替えてからお兄様の元へと急ぎました。
「おはよう御座いますお兄様、支度のために入りますね」
お兄様の寝室の扉を2回ノックして、僕はお兄様の返事も待たずに扉を開けベッドの前に向かいました。
やはり、というか今日もお兄様のベッドの上では大きな布団の塊が不気味にうごめいていました。
「お兄様、朝です、起きてください」
塊から無理矢理に布団を引き剥がすと中からいつにもまして眉間にシワを寄せ、眩しそうに目を細めるお兄様が出てきました。
「もう……朝か…」
「はい、いつもどおりです」
「そうか…ありがとう…」細い声でそう言い残しお兄様はもう一度布団の中へと崩れ落ちました。
前線にいた頃に服用していた薬と元々の体質でお兄様は朝にとても弱いらしいです。特に雨の日はとても辛そうです。
そんなお兄様のために朝のお茶の準備をしていると
「あぁくそ…そろそろまたあの薬を出してくれないものか…」
忌々しげな声が聞こえてきました。
お兄様が言うあの薬、というのはお兄様が朝に強くなる薬のことだと思います。
あの薬はあまり体に良くないらしく前線から帰ってきてからは処方して貰えてないらしいです。…薬があればお兄様が元気になると思うのですが、僕はあまり飲んでほしくはないです。
それから少しすぎ、お兄様はなんとか布団の中から出てきてくださいました。
僕の入れたお茶を少しずつ飲むお兄様の後ろに立ち、まず髪の毛をとかす作業に入ります。お兄様の短く切りそろえられた黒い髪は雨の日はあちこちに向って跳ねていて整えるのがなかなかに大変です。
そこから洗顔、洗顔をお手伝いし、もう一度髪の毛を整えます。(お兄様のこだわりの流れなんだとか…)
最後に、鍵付きのタンスの中から隅々まで美しくの装飾が施された小箱を持ってお兄様のもとに向かいます。
「…今日はどれにするんですか?」
小さな鍵で施錠を開けて箱を開けるお兄様の手元を後ろから覗き込むとたくさんのアクセサリーが並んでいました。
「今日は少し用事があるからな」
お兄様は興味深そうに箱を覗き込む僕の顔を見て少し口元を緩めてから小さな青い宝石がついた指輪と、同じ青い宝石のついたイヤリングを取り出しました。
お兄様は戦地やとてよ重要な仕事がない限りは必ず毎日宝石のついたアクセサリーをいくつか身に着けます。
「…そういえばどうしてお兄様は毎日アクセサリーを身につけるんですか?」
「ん、あぁ…家がもともと宝石の採掘と加工で栄えていたらしくてな、祝い事のたびに宝石のついた装飾品を送り合う風習があるから付けざるを得ない。特に今は御守りとしての意味も強いからな。」
「とても素敵ですね」
お兄様の小箱にたくさんのアクセサリーが入っているのということはお兄様はきっとたくはんの人に祝われて、望まれているんだろう。そう考えるととても嬉しくなり、目の前の宝石はより輝いて見えました。
「今度、僕からも送っていいですか?」
その言葉は予想外だったようでお兄様の細くなっていた目が普段の半分ほどまで開きました。
そして、少し考える素振りを見せたあと
「その時は私からも送ろう」
と約束してくれました。
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