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 のそのそとベッドから起き上がり、トイレに行く。  手を洗ってキッチンに向かい、パンとコーヒーを準備する。  テレビのスイッチを入れ、用意できたブランチをもそもそ食べる。  食器をシンク置き、シャワーを浴びた後、またベッドに戻ってスマホをいじる。  そして気がつけば、日が暮れている。  以上が良介の休日ルーティーンである。  彼女なし、遊びにいく友達もなし、これといった趣味もなし。多種多様な娯楽スポットの溢れる都会の端で、良介は今日もいつもの休日を過ごした。    スマホを見る度目に飛び込むのは、学生時代を共に過ごした友人の楽しそうな姿。  昼飯を一緒に食べていた友達の中で、一番モテていた奴は彼女とデートに行った写真、交友関係の広かった友人は海辺バーベキューをしている写真、アイドルオタクだった友人はそのアイドルのイベントに行った写真。  皆それぞれに、人生を満喫している。  それに比べて俺はどうだ。  一日中スウェット姿で髪もボサボサ。朝から夜まで一言もしゃべらない日だって珍しくない。休日がつまらないからといって、生きがいを感じるほど仕事に熱意を感じているわけでもない。  誰からもうらやましがられない、自分も楽しむことのできない人生。
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