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 疲れた体を引きずりながら、良介は家へ帰った。  冷えたビールのプルタブを開けるその瞬間、良介は至福を感じる。  弁当の蓋を開け、一日で使い切ったエネルギーを補給するように、食事とビールを胃に流し込む。  一人暮らしを始めた頃は健康的な自炊ライフを送ろうと意気込んでいたが、実際に自分で食事を作ったのは片手で数えられるほどしかない。  深い夜のこんな食事は腹の脂肪に直結する。しかも今日は甘い物付きだ。腹回りの脂肪が気になり出すお年頃だが、買ってしまったからには食べるしかない。  罪悪感には目をつむり、柔らかくもちもちした大福にかぶりつく。  ……うまっ!  良介はおいしさに目を見張った。  大福ってこんなにおいしかったっけ?    数年ぶりに食べる大福は、良介の心を不思議と満たした。甘みが疲れた体に染み渡っていく。  良介は賑やかしに観ていたテレビの音も耳に入らないほど夢中になって、口いっぱいに頬張る。食べ終わる頃には手も口のまわりも粉で白くなっていたが、自然と口角が上がった。  お腹も心も満たされた良介は、そのままばたっとベッドに倒れ込んだ。幸いにも明日は土曜日、休日出勤もなく丸一日休みである。  つまり、このまま本能に従うままに眠れる。  深い眠りが訪れるまでにそう時間がかからなかった。
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