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「わっ、良介!? どうしたの?」  求めていた声が聞こえて目を開ける。 「大福!?」  そこには大福がいた。 「帰り遅くなっちゃってごめんね」  両手にレジ袋を持った大福は、良介を家の中の押し込むようにして入る。 「え、大福、生きてる……」 「ん? 生きてるよ。あぁ、遅くなっちゃったのはごめん。バイトで原さんと話してて遅くなっちゃた。お菓子の大福に戻っちゃったかと思った?」 「いや、そうじゃなくて、まあいいや、生きてるなら」  首を傾げた大福は、手に持っていた袋をそっとテーブルに置く。その片方をそっと開いた大福は、中から取り出したものを良介に差し出した。 「昨日、嫌な態度取ってごめんね。かっとなっちゃって。これからゆっくり話し合おう」  良介は、大福から小さなブーケを受け取った。白のアザレアをメインにした大福らしいブーケだった。  良介は手にブーケを持ったまま、四十五度に腰を折った。 「ごめん。連絡入れずに遅くなって。誤解を与えるようなこともして、大福を傷つけた。本当にごめん」 「いいよ。一日頭冷やして考えて、バイトで原さんにも相談してみて、良介は浮気なんかするわけないって思ったから。でも何があったのかは、ちゃんと教えてね」  大福は腰に手を当てて、いたずらっぽく笑った。  一段階強くなった大福に、良介は昨日の出来事を一から包み隠さず伝えた。 「なるほどね。そういう事情があったの。じゃあ一つお願いがあるんだけど、女の子と自分から連絡は取らないでほしいな。あと今回は仕方ないかもしれないけど、そういう飲み会はあんまり行かないでね」 「もちろん。もう二度とこんなことしない」  頷いた大福は、ばんざいするように手を広げて良介を見上げた。 「じゃあ、仲直りのハグしよ」  良介は少し強いくらいの力で大福を抱きしめ、大福のくれた言葉を耳元でささやいた。
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