15人が本棚に入れています
本棚に追加
夕食には、大福の買ってきたハンバーグ弁当を食べる。チェーン店のものではなく、商店街のお惣菜屋が作っている素朴な弁当だ。
「良介はさ、お花に詳しいんだね。さっき渡したブーケの花言葉を良介が知ってるとは思わなかったよ」
「姉が花屋で働いてるから、いろいろ話聞かされてちょっと詳しくなった。まさかその知識がここで役に立つとは思わなかったけどね」
子どもの頃から、花が好きだった姉から季節の花や花言葉をひたすらに聞かされていた。当時は興味もないことを聞かなければならずうんざりしていたが、この瞬間だけは姉に感謝である。
「そういうえばさっき言ってたけど、いつか大福は大福に戻るの? 最初に来た時、戻り方がわかるまでしばらく置いてほしいって言ったよね」
口いっぱいに含んだ肉を咀嚼して飲み込んだあと、大福は口を開いた。
「最初はね、戻り方がわかったら戻ろうと思ってた。けど、全然わかんないし、戻りたくなくなっちゃった。だからこれからもお世話になります。よろしくね、良介」
最初のコメントを投稿しよう!