37.僕がいなくても大丈夫

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 もう可笑しくて可笑しくて、蒼と抱きあって笑い合いながら、何度もキスを繰り返した。  そんな触れ合いタイムが落ち着いて、二人揃って抱きあったまま静かになると、すぐにうとうとしてしまった。 『え、もう寝ちゃうの。え、俺が先に眠くなったのに? え、葉子ちゃん??』  そんな声が聞こえた気がしたけれど、葉子はもう夢の中。 ハコちゃん。こっち向いて。ハコちゃんのいまの笑顔をのこしてあげるよ。 白いドレス、僕に撮らせて。綺麗に撮ってあげるから。 僕、誓っていた。 ハコちゃんが、恋をして、結婚をして、奥さんになって、お母さんになっても。 君が夢を叶えたとき、唄っていても、ホールでサーブをしていても。 そばにいるって……。君が好きになった彼と一緒に……。 そばいてくれたと、思う。私も。 でも。もう僕がいなくても大丈夫だね。 あなたがいなくなって、四年も経つよ。 あなたと一緒にいた歳月を越えていく……。 でも。今年も行くよ、会いに行く。 ❄・❄・❄  新年を迎え、甲斐チーフは一度、大分のご家族が待つ家へ帰省。少し長い冬休みで不在となっていた。お師匠さんが戻ってくると、交代で派遣するためのソムリエの人選が終わっていた。  甲斐チーフがその結果を携えて出勤をした日。  矢嶋社長から託されたという経歴書が、蒼に手渡されることになっている。  葉子も早く知りたくて、蒼の許しをもらい、出勤してから給仕長室で一緒に待っていた。 「長い冬休みをありがとうございました」  白髪の頭をさげて、まず給仕長室へと甲斐チーフが帰ってきた報告へとやってきた。
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