38.兄弟子がやってくる

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「ですよね。俺も西園寺君なら、よく知っているから安心なんですけど。ただ……、なんていうのかな、ちょーーっと、堅実すぎて固いっていうのかなあ」 「そこは篠田の采配だ。任せた」 「えー。まじっすかあ~。彼、笑わないんだもん~。俺がどんなにふざけても~。秀星さん以上に笑わない~」 「おまえが、ふざけすぎているだけだろ」  メートルふたりの会話を聞いた限り、生真面目な男性だとわかり、葉子は幾分かホッとすることが出来た。だが蒼はまだ経歴書を見て、ため息をついている。 「うーん。難点がひとつあるとしたら、サイボーグ並の硬い表情、なのに、超美形でたまーに困った女性客を引き寄せちゃうことかな」 「人のこと言えるか。十和田シェフからも、矢嶋社長からも聞いたぞ。篠田も去年、こちらの店で……」 「わーーー! 言わないで、言わないでくださーいぃぃい。それ、僕の、僕の……超超反省してるヤツ!! 奥ちゃんに迷惑かけたヤツ!」 「だったら。今度は、西園寺を守る采配もできるな。秀星ならやるぞ。うまーーっくな」 「ぶわーっ。いつまでも秀星先輩に勝てないって言われる俺ってば哀れ」 『ぶぇええ』と泣き真似をした蒼がやっぱりその場を和やかにしちゃうので、葉子は甲斐チーフと一緒に笑っていた。  でも。葉子の中で『超美形なサイボーグ』な上司が出来るのかと、覚悟をしておく。 「あと一点。彼が異動希望を出した理由が家族にあってね。矢嶋社長もそこを考慮して、まずは彼を派遣することに決めたんだ。私も賛成した事情なんだが」  そこは経歴書に書いていないようで、蒼もどんなことですかと元上司に伺う目を見せる。
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