39.四年目の夜

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「それを手に入れたら。私と父と母が待つところに、帰ってきてくれたと思うんです。でも、できなかっただけ――」  大丈夫。もう涙は出ないよ。  秀星さんの気持ちがわかったから。   「ま、帰ってきていたら、俺はぶん殴るかな。『なにやってんすかーー、バカですよね!!』ってね。あー、久しぶりに先輩に『バカヤロー!!!』って叫びたくなってきた。なんか、先輩を見ているとたまーにムカつくっていうかっ」  なんてことを言うんだと、葉子はまた蒼に『秀星さんはバカじゃない』と食ってかかろうとしたが、甲斐チーフは大笑いしている。 「そうそう! 篠田はさ、『今井派』だったもんなあ。それがいつのまにか『桐生派』になっていたな」 「そんな昔話、なにもしらない奥ちゃんの前でやめてくれませんかっ!」  今井派とか桐生派とか、なになに!? と、葉子は興味津々で、蒼を通り超して、甲斐チーフへと目を輝かせてしまった。
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