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長い長い廊下の向こう
私の家は昔から
女の子は生まれた瞬間から配偶者が決まっている
正確に言うと
生まれてすぐに
名前が決まるのと同時くらいに
既に生まれている藤堂家の男児の中から
相手を決める
ずっとずっと昔し
もう昔話の世界にありそうなお話し
家の先祖は悪霊に取りつかれたらしく
生まれてくる男の子は3歳まで生きれなかった
そこで陰陽師が現れて
命がけで悪霊退散させてくれて
呪いの封印?的な約束で
庄内家の女児は
生まれたと同時に藤堂家の既に出生している男児と婚約関係を結ばせ
娘に初潮を見た時に
婚姻させると決められたらしい
いつからか
法律に基づき
庄内家の娘が16歳になったらとなったしいが・・・
法律云々で変更可能だなんて
少しいい加減に思うのは私だけだろうか?
因みに
藤堂家も同じ感じで呪われていて・・・のような話があって
ずーっと信じられていて
何十年なんてもんじゃない
何百年もこんな風にやっている決まり
破った人は今まで一人もいない
もちろん、離縁もない
私も
小さな頃から
祖父母や父母から聞かされてきた
はじめは絵本を読むような感覚で・・・
小学生になったら
反発を恐れて
そう言った話は逆にしなくなった
中学生になって
仲のいい男友達がいたけど
両親からの圧力でそれ以上に仲良くなることなんてなく
それどころか
彼からは急に口をきいてもらえなくなった
あの子と一緒に居ると
楽しかったのにな・・・
好きだとか
そういう段階にまでなっていなかったけど
だから
私は今まで恋などしたことがない
友達のように
同じクラスになった事でときめいたり
チョコレート渡す渡さないで一喜一憂したり
グラウンドを走る意中の人を見てため息をついたり
そんなことは経験してこなかった
というよりは
そんな事
16歳で結婚する私には許されてこなかったんだ
大学生の姉の麻衣(まい)は言う
「私なんて16歳の時に15歳も年上のおじさんが相手って聞かされた時は
絶望だったよ
だけど
会ってみたらイケメンだったし
大人の余裕・・・みたいなやつがあって
直ぐに好きになったけどね」麻衣
お義兄さん、包容力あるしな・・・
麻衣ちゃんかなりワガママ放題だけど
全部許されてるしね
同い年の従妹の有希(ゆき)はこう言う
「愛衣(めい)はいいじゃない
そうやってでも出会った相手と恋ができるんだから
私の相手なんて月齢が違うだけの同じ年齢だから
あと二年はおあずけなんだよ!!」有希
そうか
そういう風に考えれたら
もう少し気持ちも楽になるのかもしれない
有希はいつだって明るく前向きだ
この長い長い廊下の向こうへたどり着くと
その男が待っている
16歳の誕生日を迎えた今日
私は夫ととなる男に会いに行く
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