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沢山泣いて大きく深呼吸して少しだけ屈伸。
そうしたらようやくちょっとだけ落ち着いた…気がしました。
「とりあえず崖の下に真っ逆さまは命が危ないから…こっちに行くしかないか……」
墓の後ろに回ると土の間から覗く気の根っこが見えたので指をかけて一生懸命上を目指して登り始めました。
ですが直ぐにグッと重く足が動かくなった事に気付きました。どうしてだろうか?
「あ、あれっ?」
腕は動くのに足が動かない…!?
引っ張られる感覚がして恐る恐る下を向いて私は直ぐにギョッとしました。
自分の足首を誰かの青白い細い手が掴んでいたからです。
-ねぇ、待って…私も連れてってちょうだい…。
掠れた老婆のような声が耳奥に聴こえました。
姿は視えません。
ですがその手は確かに土から這い出ていました。…そう、“墓の下から”出て来ていたのです。見間違いなんかじゃありません。本当なのです。
「いっ、いやあぁあぁーっ!!離してーっ!」
必死になって足をばたつかせました。
だけど掴まれた足はどんどん土の中へと力強く引っ張られていきます。
泣きながら「助けてっ!」と何度も何度も懸命に叫び続けました。
- 一緒に連れてって…私も一緒にっ……!。
「やだやだやだやだ!お願いっ、誰か助けてーっ!!」
暴れれば暴れるほどずるずると私の身体が土の中へ沈んでいきます。
怖いほどに冷たく湿った土の感触はいつかとても幼い頃に触れた亡くなった愛犬の凍った肌の感触ととてもよく似ていたものですから、沈めば沈むほどあの世に連れて行かれてるような気がしてきて私はますます恐怖で震えが止まらなくなりましました。
もう駄目だ!悔しそうに瞼を閉じた時です。
「木戸ーっ!」
上の方から私を呼ぶ声が聞こえました。
同級生で同じ林間合宿の班の坊主頭の“宮城ソウ”の声でした。宮城君は私が居ないのにいの1番に気付いて探しに来てくれたのだと言う話しは後に知りました。
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