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「先生」
画面の前ですっ手を上げると何人もの生徒の瞳が僕を見た、次いで先生の瞳がこちらを向いたのを確認して言葉を続ける。
「魔法の授業なのになぜオンライン授業なのですか?」
「今はそういう時代です」
先生はにこりと微笑んだ。
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13歳の誕生日を迎えた僕のところに真っ赤な封筒が届いた。ご丁寧にも封蝋してあるそれは「日本魔法学校」と書かれていて、魔法など夢物語だと当然のように思っていたけれど、もしかしたら自分が知らないだけで本当にそういう世界があるのかもしれないとわくわくした。赤い封筒を持ったまま自分の部屋へ飛び込んだそのままにベッドへとダイブして封筒を破きながら、心臓が高鳴る。こんなにドキドキしたのは初めて自転車に乗った時以来だ。上質な紙質の便箋を緊張のあまり震える手で開く。
「おめでとうございます!!あなたには魔法の資質があります、私たちの学校で魔法を学んでみませんか? 」
「魔法の資質!!」
嬉しくて声を張り上げてしまった。大きな文字の下にはとげとげの吹き出しの中に授業料はたったの1000円!と書かれている。そんな格安で授業が受けられるなんて!すごいじゃないか! まだ紙が入っている。
「教科書だ!」
教科書の写真がそこには載っていた。初級コースのテキスト30000円、中級コース88000円、上級コース283000円.......、とても僕のお小遣いで買える金額ではない。あ、でもお試しコースがある、テキスト授業料込。8680円。しかも空飛ぶホウキがついてくる! 貯めていたお小遣いがある、それで出来るはずだ!
僕はベッドから飛び起きると、カラーボックスのなかにこやかに座っている豚の貯金箱をひっつかんでひっくり返す。まだじいちゃんにもらったお年玉がある。無駄遣いせずに取っておいて良かった!これが届いたのが1月でよかった!奇跡も魔法もあるんだ!さらに手紙を見ていくとQRコードもついていて、僕はさっそくスマホからアクセスしてみた。
日本魔法学校へようこそ
文字が浮かび出てきて僕はふわああと声をあげる。
日本魔法学校は日本に在住する魔法使いたちのための学校です。卒業生には将来魔法界で活躍する人たちも多くいます。スクロールすると名前がずらずらと書かれていたけれど、全然聞いたこともない知らない人たち。だけれどそれも当然か、だって一般の人は魔法を信じていないのだから。さらにスクロールしていくと、校長の名前やらも書いてあるけれど、僕の目を引いたのは魔法に使う道具たち。 空飛ぶホウキ、未来を映し出す水晶玉、厄を払うチャーム、魔法の杖! 魔法使いになるのだから杖は必須だ!ええと、ひとつ、
「3460円...、高いなあ...」
お試しコースを受けてしまうと、もう僕の手持ちでは無理だ。まあいい、僕にどれぐらいの魔法の資質があるか分からないし、お試しコースを受講してそれから考えよう。
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