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授業が終わって僕は少し考える。
思っていたよりも面白くない、わくわくしないしテキストも読めない、魔法学校ってこんなもの?でも今のは抗議だったからだ、きっと実技ではもっともっと楽しくなるに違いない!先生も言っていたじゃないか「魔法のホウキは必ず飛べる」と。
「よし!」
僕は気合いを入れてホウキを引っ掴んで、部屋の窓を開けた。途端に暖房の効いた部屋に冷たい風が流れ込んできたが、今はそれすら心地よいくらい頬が火照っている。窓の外は芝生、昨日雨が降っていたからちょっとぬかるんでいるが、落ちたら大惨事になること間違いなし。だけど魔法も魔法学校もあるんだ!きっと海外交流なんかもあって、有名な額に傷のある男の子にだって会えるはずなんだ!僕はベランダに出てほうきにまたがった。
「僕には魔法の素質があるんだ!!」
いざ宙へ飛び出す。
風を感じる、僕の耳元でびゅうびゅうと唸っている。
地球の法則に従って、万有引力が僕を引っ張っていた。
「うわあああああああああ!!」
叫んだのは一瞬だったかのように思う。瞬間腹に衝撃が襲う、手足も同様に。
全治3ヶ月、病名骨折。
ほうきと共に飛び降りた理由を知って、お父さんは人を指さしてゲラゲラ笑い、お母さんは頭を抱えた。
友達からのあだ名は「魔法使いw」となった。不本意だし、皮肉がすぎる。
のちに調べて分かったことだが、あの日本魔法学校は詐欺だった。ランダムにDMが送られているらしいのだが封書なのは珍しい。(ばあちゃんが1度雑誌に載っていた幸運を呼ぶ財布を買ったことが原因ではないかと思う)ネットにはこう書かれていた。
「あの詐欺メール人を騙す気がないw」
「もはやセンスの固まり」
「引っかかった人間は相当なアホ」
僕は泣いた。
手元に残ったのは、何処にでもでも売られているノートだけだった。ホウキはバキバキに壊れた。
オンライン講座など二度と受けるものか。
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