迷える子羊は悪魔に導かれ天に昇る

人はパンのみにて生くるにあらず

　だが、メーカーと機種の指定があり、プロバイダーは天界の光。
　宗教法人のような名前だ。

　銀行口座があるのだから全部持ち歩かずに適宜引き出し無駄遣いをしないようにと念押ししている。
　ちゃんとレシート、領収書を取っておく事。
　レシートを写して送らなければ全て却下。

　画面を下がっていくと最後に「でぃおん」とあった。
　メッセージを送信したのがヨエルではないとバレているらしい。

　胸の辺りまで嫌な何かが込み上げた。

　「ディオン、何処で降りる？」

　ヨエルが無邪気な顔で下から覗き込む。
　頭に上り掛けた血が下がった。

　「人が余り降りない所だ。」

　二人とも山手線は永久にグルグル回り続けるものだと思っている。