芳香は人の心を楽しませる

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 「時間の無駄……せっかく……上手く人間の言葉を使うね。意味は分かるけど、何時使えばいいか分からないよ。時間って何なんだ。それが無駄って?時間って取っておけるものじゃないだろ?良く分からない。」  「刑事ドラマを最後まで見た後で使うといい。俺だって良く分からないけどな。ともかく、こんな時には傘だ。」  「うん、少し理解出来た。雨、気持ちいいよ。」  「人間は傘を差すんだ。雨に濡れたら嫌だって思うのが人間なんだよ。」  小柄なヨエルを抱え込むようにして早足で歩く。  背後に視線を感じた。  どうやら、さっきの刑事達らしい。  人間は本当に愚かだ。  雑貨屋に着いた。  カエルの椅子と黄色い傘を手に取る。  「悪魔はカエルが好きなの?」  「好きな訳じゃない。」  「じゃあ何で?」  
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