汝の敵を愛せよ

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 「僕達も同じ物を買えば間違いないよ。」  ディオンがビールと日本酒とツマミをカゴに放り込んでいく。  「あ、これも……」  追加されたのは「天使のレシピ」と書かれた本だった。  「天使の為の料理本が人間界にあるなんて。」  本当に天使の為の料理本なんだろうか。  ディオンは首を捻った。  オレンジのカゴをレジに持って行くと、店員があからさまにホッと息を吐く。  店を出る時には深い溜め息が背後で聞こえた。  風が心地好い。  下北沢で購入した色違いのTシャツで夜道を歩く。
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