汝の敵を愛せよ

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 「次は日本酒を飲んでみようよ?グラス取ってくる。」  ヨエルの頬はディオンの期待通り桜色に染まっていた。  気分がいい。  日本酒を舌で転がし喉の奥にゆっくりと流し込む。  ヨエルは溜め息を吐きながら、うっとりとしている。  ビールとは別の味わい深さが二人を酔わせた。    「ビールは苦いけど日本酒は少し甘いんだね。僕は日本酒の方が好きかも。ディオンは?」  酒の力は凄い。  ヨエルの美しさは非の打ち所が無いが、今は人ならではの可愛さがプラスされている。  ほんのり桜色の頬に唇。  頭を傾けて問い掛ける潤んだ瞳。  甘い香りにクラクラする。  手を伸ばせば触れられる。  酒に酔ってるんじゃない。  ヨエルに酔ってるんだ。  
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