汝の敵を愛せよ

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 「そんな!お前は何とも無いのか?」  悪魔を酔わせるとは酒恐るべし。  「フワフワして楽しくなって、体が熱くて、これが酔うって事なのかなあって思ったけど、ディオンが寝てしまったからビールも日本酒も全部僕が飲んでしまったよ。今朝まで楽しい気分が続いてる。酒、サイコー!」  「俺は気分が悪い。」  「スクランブルエッグも作ったんだけど。考えてみたら昨日の夕飯食べてないからお腹空いたんじゃない?」  「コンソメスープだけでいい。」  ディオンの気分を悪くしているのは二日酔いだけではなかった。  悪魔とは支配欲の強い存在だ。  だから支配される事を何よりも嫌う。  ディオンは酒に、意思も時も奪われたと 感じた。  人間界に流れる時とは、彼にとっては意識下に置かなければならないものだと考えている。  多くの人間達のように時に振り回されるのは悪魔的ではない。
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