汝の敵を愛せよ

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 睡眠時は仕方が無い。  人間としてある以上必須であり、自身をコントロールする為のものなのだから。  堕落させるのは好きだが、堕落させられるのは悪魔の誇りが許さない。  ディオンは酒を憎んだ。  「昨日、少し怖かったんだ。」  ヨエルがポツリと呟いた。  「まさか、犯人に殺されかけた事がか?」  ヨエルにそんな人並みな恐怖があるなんて。  死んでも天界に戻るだけ。  それが分かっていながら、どうして昨日はあんなに焦ったのだろうか。  人間の肉体ならではの抗しきれない本能なのか。  「違うよ……ディオンが……僕の此処を……」    
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