汝の敵を愛せよ

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 そうした姿を眺めていると、先程までの昂りは何だったのだと思えてくる。  「もう僕は食べちゃったから、コンソメスープ自分で温めて飲んでね。」  股間の猛りは無害なベビーのように萎み、贋の悪魔の存在も感じない。  ソイツを封じ込めるには、先ず全裸にエプロンを止めさせる事だ。  ディオンに背を向けてテレビのチャンネルを変えるヨエルを見ても何ともないのだから。  温かいコンソメスープが旨い。  二日酔いの辛さも癒される。  「ねえ、昨日の人、ワイドショーでやってるよ。動機は被害者の女性が好きだったのに断られたからだって。ストーカーって何だろね。」  「へえ……」  全く関心が無かった。  
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