汝の敵を愛せよ

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 「好き、愛って何だろう。僕は神に対して愛を抱き、常に神の愛に包まれているけど、それと似たようなものかな。でも、神は全てを受け入れて下さり拒む事はないから違うんだろうか。神が天使をお見捨てになられる事は無いもんな。堕天しない限りは……」  「ヨエル、好きって言ってただろ。俺の事。嫌いとも言ってたけど……」  「ああ、言葉にはしたけど良く分からない。神への愛を好きと言い換えるなら、きっとディオンの事も好きなのかも。勿論、神には遠く及ばないけど。」  「堕天の基準は何なんだ!!天使なんて見守るだけだろ?神、神、神!それで刺されそうになってた!!」  頭がカッと熱くなり、胸に沸き上がる何かを放出せずにはいられなかった。  「ディオン……今、もしかして怒ってる?何か怒らせるような事言った?」  ディオンに向けられた眼差しには様々な色が混じり過ぎて、喜怒哀楽で単純に分類出来ない。  
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