汝の敵を愛せよ

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 「顔はめっちゃよき。あの子、女の子みたいだけど男子?」  女子のトークが続く。  ヨエルにも聞こえているのかと見ると、ぼんやり眠そうな眼をしていた。  多分聞こえていない。  「胸無いし、女子なら下北沢って書かれたTシャツ死んでも着ないって。」  「残念イケメン。しかもお揃いってウケる。」  「ねえ、ヤバイ。BL。あれBLだよ。」  電車の振動が心地好いのか、ヨエルは首を傾けディオンの肩に頭を載せ寝てしまっていた。  「マジ、寝顔がエモい!写真撮ってインスタアップしたいんだけど。」  気付いたら新宿に着いていた。  終点だから此処で降りるしかない。  ヨエルを起こして、右と左の何方のドアから出るべきか少し悩んだ。
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