汝の敵を愛せよ

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 「今朝は起きた時には日が昇ってた。昨日よりも太陽の位置が高かったから遅かったんだろうね。酒のせいかな。酒は人を狂わせるんだね。」  二人が住むアパートの部屋には時計は置いていない。  だが時間を確認する方法はある。  ニュース番組等で左上に時刻が出ている事に二人は気付いていなかった。  「もうすぐ1日が終わるな。」  人の流れに従い地上に出ると、沈む夕陽に赤々と照らされた空でカラスが鳴いていた。  「じゃあ、もう帰る?お腹空いた。淀みも酷いし。」  「少しは此処に留まった方がいい。電車の中で……レストランに入ろう。」  ディオンは電車の中で耳にした女子高生達の会話で気になった点を話そうとして止めた。  言われてみれば、とても空腹だった。
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