芳香は人の心を楽しませる

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 嬉しそうに微笑むヨエルの顔。  ブリーフ一丁でダイニングキッチンの椅子に腰掛けると、湯気の立つ黄色いオムレツがテーブルの上に置かれた。  スプーンで一口掬う。  「オムレツ、上手いな。エプロンは外さないのか?」  「料理は楽しい。フワフワに出来た。そっか、エプロンは取るんだよね。」  スッと立ちエプロンを外すと、ラファエロの宗教画を思わせる天使そのものの裸体が現れた。  いや、彼こそが本物の天使なのだから当然だ。  下半身が疼く。  白い肌が眩しい。  釘付けになった視線が、ヨエルに付いて動いた。  「あっ!」  和室に移り、ゴワっとしたデニムを履き、安物のTシャツに袖を通すヨエルを見て声を上げてしまった。  「何?」  「服は着なくてもいいんじゃないか?俺だって下着しか付けてない。」  「でも、風邪を引くって……何も身に付けないのは変だろう?」  「家の中は自由だ。俺達は男性形なんだから裸の儘でいればいいと思う。」  「そっかあ。」
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