汝の敵を愛せよ

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 地下には旅行関連の書籍が充実していた。  「そういえばお腹空いたね。」  そう言いながらヨエルが旅行ガイドを手に取る。    「こういうのを見て、人間は色んな場所に出向くんだな。」  「鳥取と和歌山、長野、全部同じに見える。旅行ガイドというのは写真の場所に行けという指示書になるのかな?」  「きっとそんなところだろう。」  「僕達にも指示書があればいいと思う?」  「いや、俺は指示されると別の事をやりたくなるから意味が無い。ただ、自分で目的を定めれば時間の無駄が無いような気がする。」    ヨエルが感心したように溜め息を洩らす。  「じゃあ一冊買ってみよう。此処に行かなくても役に立つかも。時間を無駄遣いしなくて済むかもしれない。」  
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