汝の敵を愛せよ

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 店内の様子を見回しているうちに注文の品が次々と運ばれてきた。  ネーミングを裏切らない見た目で、シチューにはプラスチックの目玉がプカプカ浮いている。  恋のキューピッドのグラスにヒビは入っていなかった。  「後、これにサインお願いします。」  料理と一緒に色紙がテーブルの上に置かれた。  「はあ、名前書けばいいんですか?」  マジックで猛と清と書いた。  「タケシとキヨシ……下北沢じゃないんですか?」  「はい、僕達の名前は猛と清です。下北沢が好きなだけです。」  「へえ、何かデジャブなコンビ名っすね。どっかで聞いたな。前世でなのかな。ともかくブレイクしますように。ありがとうございます。」
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