汝の敵を愛せよ

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 いつの間にか、一切の服を脱ぎ捨てたヨエルが其処にいた。  気怠げな瞳、誘う唇。  「ディ……オン」  指を咥え上目遣いで名を呼ぶ。  ディオンの内なる悪魔が目覚めた。  喉から手が出る程の空腹は収まった。  と、思ったら代わって今、ヨエルを渇望している。  欲しい。  指でヨエルの顎を掬い、唇の周りに付いたケチャップを舌で舐め取る。  「あ、ディオン、そんなにお腹空いてるの?」  戸惑いを含む甘い声。  「ああ、お前が欲しくて堪らない。」  「僕は食べ物じゃない。食べ物なら其処に……」
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