汝の敵を愛せよ

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 「ディオン、顔が赤いよ。」  「ライトのせいだろう。お互い様だ。」  冷静に返し、ディオンは神の楽園をゴクゴクと一気に飲み干した。  身体が熱い。  また贋の悪魔が拳を突き上げようとしているのか。  ディオンは支配されまいと、料理をガツガツ貪り、熱を冷ますため氷が詰め込まれたドリンクを何杯も干した。  もう、お時間ですと店員に告げられ店を出る。  「あ、あれはゴジラ?」  歌舞伎町の奥に目を遣ると右手に細長く高いビルがあった。  その脇に、確かにゴジラの頭が半分程覗いている。  「もっと近くで見たい。」  視界がぼやけ足元がフラついていたが、ヨエルに手を引かれ付いていく。  
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