汝の敵を愛せよ

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 真ん中に敷かれた赤いマットが真っ先に目に付く。  ビデオカメラを備え付けた三脚がマットに向けて数台囲むように置かれていた。  「今更だけど、男だよな。」  「だとしても女よりも可愛い。脱がせて、じっくり調べれば分かる。」  「どっちにしても、動画撮って売れば沢山稼げそうだしな。」  ぼおっと佇むヨエルの傍らで、男達が囁き交わしながらビデオの電源を入れる。  「貴方はどうして此処にいるの?」  手持ち無沙汰なヨエルは女性の霊に話し掛けてみた。  「ひっひ、今度は何だよ。相当イカれてる。」  「ほら、ちゃんと言う事聞けば手荒な真似はしないから、取り敢えず着てる物を脱いで貰おうか。」  SM用の手枷とM字開脚拘束ベルト、その他見るからに卑猥な道具を用意しながら男達が要求する。
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