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二階の扉のノブを下げて押すが開かない。
鍵が掛かっていた。
ヨエルは間違いなく此処にいる。
人間とは不便だ。
鍵が無ければ、こんなドア一枚隔てた向こう側に行けないなんて。
ド○えもんがいてくれたら。
多くの日本人が困った時、神よりも救いを求めるキャラの名が浮かぶ。
「ベランダがあったな。」
酒のせいで具合が悪いというより、頭は朦朧としながらハイで強気になっていた。
難なく一階のベランダに侵入し、柵の上に立ち腕を伸ばすと、二階ベランダの柵に手が届いた。
190cm近い高身長の為せる技だ。
悪魔的運動神経を駆使して二階のベランダに身体を引き上げる。
窓ガラスにも鍵が掛かり、紙が貼られていて中の様子が分からない。
こんな時ド○えもんが──
その時、ベランダの片隅に立て掛けてある薄汚れた折り畳みの椅子が目に入った。
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