汝の敵を愛せよ

59/64
前へ
/308ページ
次へ
 「ふぅ……」  ディオンは汗だくだった。  悪魔の衝動に、とうとう人間の肉体が限界を訴え動きが止まる。  『ありがとう……悪を成敗してくれて……正義のヒーロー。』  荒い息を吐くディオンの前に、女性の幽霊がボォっと現れ微笑んだ。  何故、礼を言われるのかが分からない。  呆然としているうちに、眩い光に包まれた女性の霊が天に昇って行く。    衝動の解放と霊の出現で酔いが冷めた。  ふと、マットに目を移す。  M字開脚拘束ベルトで脚を開かれ泡を吹いて痙攣する男達の醜い姿があった。  殆んどカエルにしか見えない。  「コイツらは一体誰なんだ。ヨエル、ヨエルは?」  ヨエルの姿が無い。  慌てて探すが、部屋に残されているのはヨエルのTシャツとデニム、下着、そして──  
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加