突然の物騒な単語

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突然の物騒な単語

 文化祭の準備は着々と進んでいるらしい。黒板の前で山下和也と島田美佳の実行委員コンビが模擬店の内容を説明している。どうやら僕たちのクラスはカフェをやるらしい。メニューについての議論が進んでいる。 「飲み物は普通にソフトドリンク出せば良いとして、問題はフードだよな。菓子を皿に盛って出すだけだと微妙じゃね?」  山下の問いかけに数名の男子が反応するが、具体的な案には結びついていない。 「いっそ酒出してキャバやろうぜ」という誰かの声に、「お前行ったこともないくせに何言ってんだ」と先生が呆れた声を出す。 「由香里、先生はキャバクラ行ったことあるのかな?」 「知るわけないよそんなの」  スマートフォンから目を離さず答える。心底興味が無いらしい。次の瞬間、先生と目が合ってしまい、気まずい気持ちで視線をそらす。
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