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突然の物騒な単語に教室中がどよめき、視線が先生に集まる。雪宮商店街といえば、隣町だ。
「女性が殺されて、犯人はまだ捕まっていないらしい。だからその、文化祭の準備もほどほどにして、明るいうちに帰るようにな。以上」
シリアスな内容の割に緩い話し方だ。殺人の動機はほとんどが怨恨か金目当てだというし、ほとんどの高校生にとっては対岸の火事といえばそうなのかもしれない。
ざわついた教室内で、由香里が話し掛けてくる。
「悠、今の知ってた? 雪宮なんてすぐそこじゃん!」
「いや、知らなかった。そしてちょっとビックリした。誰か知ってた?」
僕の問いかけに、メガネをふきながら平山が応じた。
「多分ほとんど誰も知らなかったんじゃないかな。昨日の夜事件があって、犯人がまだ捕まってないんでしょ。遺体が発見されたのは深夜かも。そしたら話題になるのは翌日だ。僕たちは朝から学校だからね」
「俺が昼間ニュースサイトをチェックした時はそんな記事は見当たらなかったが」正宗が補足する。「今見たらあちこちで取り上げられてるようだ」
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