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ところが僕はというと今ひとつその雰囲気になじめずにいた。そろいのTシャツを作るとか、店内BGMをどうするとか。何故みんなそんなに興味を持てるのだろう。協調性がないというよりは、単純に根暗なのが原因かもしれない。
「ふわあぁ、悠おはよ……」
教室に入ると、すでに着席して頬杖をついていた藍澤由香里があくびを噛み殺しながら声をかけてきた。ショートボブの黒髪が色白の小さな顔に良く似合っている。
自称クラスで三番目に可愛い女の子。以前髪を染めない理由を訊いたら「やがてプリンになるのが嫌だから」と言っていた。男子に媚びず、それでいて女子とつるむのは苦手という珍しい人種だ。彼女の席は廊下側の後ろから三列目。僕の席はその前だ。
「おはよ。由香里は相変わらず眠そうだね」
「現役JKネットゲーマーにとって学校に居る時間こそが休息の時なのよ。にしても昨日の狩りは久々きつかったわ。レッドギルドとガチの殺し合いになっちゃってさ」
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