来生真帆

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 細い金属フレームの眼鏡。その奥の優しい瞳。長いまつ毛が印象的だ。髪の量が多いせいか少しモッサリして見えるが、それでいて清潔感がある。その姿はどこかアルマジロを想起させた。  待て待て。これがまさか、求めていた新たな出会いってこと? 話しかけたりすべきなのだろうか。しかしそれじゃまるでナンパじゃないか。高校の図書室ですることじゃない。  しばし逡巡(しゅんじゅん)していると、突然僕の肩に手が置かれた。 「早速お勉強してるのか。殊勝(しゅしょう)なことだ」  その面倒くさい言い回しに、振り返るまでもなく正宗だとわかる。 「殊勝? 難しい単語をわざわざ使うなよ。高校生らしくないぞ」 「何言ってるんだ。日頃から色んな言葉を使わないと語彙(ごい)がとぼしくなるぞ」 「それは確かに」僕は苦笑いする。「言いたいことはわかるよ」 「今時の高校生は『やばい』『わかる』『ありえない』の三つで一週間は会話ができるからな」 「きっとイルカの方がボキャブラリー豊富だ」  無駄に深刻な顔でくだらない会話をしながら、正宗は隣に座った。
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