彼氏は先生

4/6
前へ
/147ページ
次へ
 朝海が言うには。  私は軽音楽部のエース。  私は軽音楽部の部員でボーカルを担当している。  その軽音楽部で。  どうやら私はエースらしい。  朝海が言っていた。  私が特にエースと呼ばれるようになったのは。  今年の新入生歓迎のときに行ったライブのときのこと。  そのときに新入生たちの前で歌ったことがきっかけで。  私が歌っている姿が新入生たちの間で『かっこいい‼』となったらしい。  それ以降、私は新入生たちの憧れの存在となった。  とのこと。    エースというだけあって。  私が廊下を通るだけで。  生徒たちが私のことを憧れの眼差しで見ているらしい。  ということを朝海から聞いたけれど。  私はそんな感覚は全くなく、ピンとこない。  そんな私に、朝海はこうも言った。 『モテるエース女子とイケメン先生は罪だね~』と。  そのときの朝海の表情(かお)は、にんまりとしていた。  私は朝海に『もう、何言ってるの』と言った。  けれど朝海は『何照れちゃって可愛い~』と言って、さらににんまりとしていた。  でも。  違う。  朝海はそう言ったけれど。  私の人気と隼理くんの人気の意味は全く違うと思う。  私の場合は。  女子生徒たちは同性だから。  隼理くんが心配することは何もない。  でも隼理くんの場合は。  女子生徒たちは異性なわけで。  私にとっては、ものすごく心配なこと。  同性からの人気と。  異性からの人気。  それらは大きく異なる。  だから。  もし私に人気があるとしても。  隼理くんは全く心配する必要はない。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加