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事務所の真ん中にある、広いデザイナーズ家具のようなテーブル席に案内され、なんか思っていた再会と違う、と思いながら、大人しくそのスタイリッシュな椅子に座った。
さっき手に持っていた仕事の荷物を片付けているヨシノさんを、盗み見する。
髪が少し長くなって、少し痩せた気がする。
でも、醸し出す雰囲気も、穏やかな表情も、あまり変わっていないね。
年を重ねてますます素敵になった。
「打ち合わせが長引いちゃって真っ直ぐ帰ろうと思ったんだけど。寄って良かったです」
二度と会わないと思っていた人が私の正面の席に座り「お久しぶりです」と言いながら平然とした顔をして私を見た。
ショッピングモールでお見かけしてからまだ数時間内の出来事で、この状況を飲み込めずにいるのは私。
どうしてそんなに見るの。
なぜ何も喋らないの。
ヨシノさんの意図が分からぬまま、沈黙に耐え切れず話し始める。
「今日……つい先程ですが、T町のショッピングモールでヨシノさんを見かけまして」
「ん? ああ、行きましたね。今日」
「それからさっき偶然、咲田さんと美南さんとも会って」
「俺も咲田さんとはたまに会う」
「私は大分久しぶりでした……」
あれから何年くらい経つかなと言われ、
八年くらいですね、と答えた。
「詩織ちゃんは先生をしているんだよね?」
「はい。なんで知って?」
「風の噂で聞きました」
多分、美南さんへの年賀状かな。
ヨシノさんの視線が、私が持っていた本に向けられる。そうだったこの本、
「返さずにすみません。これ……」
「懐かしいですね。まだ持ってたの?」
ヨシノさんは、テーブルの上にあった本に手を伸ばし、ぱらぱらと捲った。
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