side 暉 27歳 1月

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❁❁❁ 「あけましておめでとうございます!」  初泳ぎにプールに行けたのは、一月も中旬になってからだった。 いつものように受付にはシオリちゃんの姿があり、俺たちを見つけると力が抜けたようにやわらかい笑顔になった。 「おー、シオちゃん。あけましておめでとうございます~、今年もよろしくね」 「今年もよろしくお願いします、咲田さん」 「お年玉もらった?」 「いやどんだけ子ども扱い……あ、そういえばもらったな、祖父から……」 「あはは、ほらねー」  以前より気軽に話しかけてくれるようになり、砕けた会話が楽しい。プール仲間として気を許してくれているのだろう。 咲田さんと美南さんの存在が大きいが。 微笑ましい二人の様子を見ていると、バチリと目が合った。 「芳野さんも、今年もどうぞよろしくお願いします!」 「こちらこそよろしくお願いします」 元気な挨拶につられ、こちらも笑顔になる。  それにしても、シオリちゃんは目に特徴があるな。特段大きくはないけれど、切れ長のスッとした目。あの目で見られると、たまに視線が外せなくなるのだが……。 「芳野君今日、泳ぎ終わったら塩ラーメン行かね?」 「塩ラーメンか、いいですね」  咲田さんの勧める店にハズレ無し。  小説は思いの外順調で、書く事が今とても楽しい。中心となる軸の人物がいるおかげかすんなりストーリーが展開していく。読んだ人が面白いかはさておき、自分自身が面白いという、今までにあまりない感覚だった。  シオリちゃんに“小説書き”がバレて焦ったが、以前書いたものを紹介する気は一切無くだから今書いている小説など尚更、彼女が読む機会はない。隠さなければならない程モデルにしている訳でもないが。
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