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side 暉 27歳 2月、3月
主人公は、三十半ばのどこにでも居そうなサラリーマン。ひょんな事から知り合った、自分より一回り以上歳下の女性から、好意を寄せられるが、その気になる程夢見がちでも情熱的でもない。若い頃のある種、病の様なものだと、なかなか受け入れようとしない。
けれど、凛とした一輪の花のような彼女はとても魅力的で、次第に距離が近付き、その思いに絆されていく。
先に近づいてきたのは君のほう、無意識に見つめ返すようになる頃には、待ちの僕。
音をたてないでそっと近づいたのは君だったでしょう?
「──できた、な」
とりあえず、まとまった。
勢いで書いているうちはいいけれど……。
冷静になり、何度か推敲を重ねると大分恥ずかしい。ていうか何これ、大丈夫?
ストーリーの中に入り込んでいたようで、ひどく何かに酔っているような。恋愛物だからなのか。
書き上げてみれば、主人公が恋情を抱く、年上の男性を骨抜きにして居なくなるユサという女性は、もはやシオリちゃんでもなんでもなかった。凛として真っ直ぐなイメージは重なる部分があるけれど。
それに最近なんていうのか、
シオリちゃんの様子が少しおかしい……。
二月の終わり、サークルのメンバーで飲みに行く機会があり、女性は美南さんとシオリちゃんの他に数名が参加していた。
「シオちゃんは、大学で彼氏いないの~? 居たらこんなにバイトしてらんないかー」
「へへ、すっかり乗り遅れちゃって」
「恋愛に乗り遅れるも何もないでしょう!」
「春休みに旅行行くって言ってたじゃない」
「そ、それは友達と!」
「あやしいなーー」
遠からず近からずの距離にいたので、話の内容は聞く気が無くとも入ってくる。
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