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「どういうタイプの人が好きなの?」
「え、タイプ……」
「芸能人で言うと誰? イケメン?」
「私、シオちゃんには年上が合うと思うんだよね、知的な感じの」
「あー、わかるわかる。そんな感じするー」
店員が注文を取りに来たので顔を上げると、誰かの視線を感じ、そちらを見た。
今まさに話題の中心にいたシオリちゃんとバッチリ目が合う。彼女は驚いた様に目を見開くと、すぐに逸らした。
「……?」 なんだ?
「好きなタイプは、爽やかなイケメンです!ええと、ゴウアヤノです」
「ゴウアヤノ、爽やか系じゃないじゃーん」
「き、既婚者じゃない方がいいですね」
「はー? あったりまえじゃん! アハハ」
「あはは、あったりまえですよ」
彼女、間違えて酒飲んでないよな……?
それ程遅い時間にならずお開きになった。皆すぐに帰路に就き、残されたのはいつものメンバー。
美南さんは忘れ物を取りに店内に戻り、
咲田さんもついでにトイレに行ってくると言ってその場を離れた。
歩道の端に、行き交う車の流れをぼんやりと眺めるシオリちゃんが立っている。どこか儚げで、本当に間違えてアルコールでも入ったんじゃないか、と苦笑しながら近づいた。いつもの彼女らしくない。
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