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誤解を解くために体ごと浅倉君の方に向ける。向き合った体勢。浅倉君が拗ねた表情のままだ。
「だから、嫌なんて思ってないから」
「じゃあこっち来いって」
「……、」
「来い」
犬に命令しているのか浅倉君は。ポンポンと自分の横を手で叩き、あたしを呼び寄せようとしている。
覚悟を決めてその言葉に従うあたしはホントにもう浅倉君のペットそのもの。
無言で浅倉君の隣に座れば「はい」と目の前に差し出される、チョコレート。
「ご褒美」
「…あたしを何だと思って…」
「いいからあげる」
「……」
完全にペットと化した。
どうも、と言って浅倉君からチョコレートを受け取り、気を紛らわせるためにもすぐに口の中に放り込む。それをジっと見てくる浅倉君。
「美味しい?」
「…うん」
「そっか」
とかなんとか言いつつ、笑みを浮かべる浅倉君がちょっと不気味だ。なんで笑っているんだろう。浅倉君がお気に入りのチョコレートなんだろうか。
あたしがそれを美味しいと言ったから嬉しいんだろうか。
「……、」
いや、でも浅倉君ってそんな人ではない気が。
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