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チョコレートを食べた口でするキスは、これまで経験したことのない甘さをもたらす。
浅倉君はすぐに厚い舌を差し込んだ。
片手であたしの後頭部を引き寄せたまま、あたしの口の中に残っていたチョコレートの小さな欠片を舌で溶かすようにゆっくりと動かす。
その甘い舌であたしのそれに絡めてくるから、耐えきれない嬌声が小さく漏れてしまう。
背筋をゾクリと震わせる強い刺激にギュっと目を瞑ると、生理的な涙が目尻に僅かに滲んだ。
甘く激しい、濃厚すぎるキス。苦しくて息をしようと口を開くも、鼻にかかる甘ったるい声が零れるだけ。
凄艶さを孕む粘着音。いつの間にかあたしは浅倉君の下で、ソファに押し付けられている。
「ん…っ、は、」
あたしの体の熱がジリジリと高まっていく。イケない熱だと分かっている。これ以上流されるのはマズいと頭の片隅では分かっている。
甘美な痺れに抵抗するように薄っすらと目を開くも、浅倉君の手に首筋をなぞられてあたしはまた瞼を落とした。
だけど、浅倉君の手が服の裾の中に入り込んでくると、あたしは咄嗟に体を捩った。
「っん、ま、…待って」
「……ん、?」
顔を横に背けると自然と唇は離れた。透明の糸がプツリと切れる。
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